神奈川SR経営労務センター
参考資料
 2006年<新年号> CONTENTS一覧へ戻る
掲載内容
  個別労使紛争解決ドキュメント  
    試用期間延長後に本採用を拒否
 
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〔概 要〕
 Mさんは、訪問介護事業会社にホームへルパーとして入社したが、当初3ヵ月の試用期問をさらに3ヵ月間延長された。
 そのうえ、能力、適性から判断してホームへルパーとして不適格との決定が下され、会社から本採用拒否の通告を受けたため、納得できず総合労働相談コーナーに相談した。

Mさんの主張

 入社3ヵ月経過後、充分な理由、説明もなく試用期間を3ヵ月間延長された。
 自分ではやむを得ないとあきらめ、延長後には必ず本採用されると期待していた。
 延長後も本採用できないとの一方的な通告には納得できない。会社は本採用するべきである。

 

会社の主張

 Mさんは入社時から他の同僚と比較して理解が遅く、訪問先利用者宅でも迷惑をかけるなど問題もあった。
 本来ならば3ヵ月目に本採用を拒否すべきであったが、再度反省を促し3ヵ月間勤務状況を観察するために延長した。
 それでも訪問介護業務の指示事項を充分に処理できず、利用者への影響も大きいことから、ホームへルパーとして本採用することは困難と判断した。そのことは試用期間満了の30日前に本人に説明している。

 

試用期間について

 相談員はMさんや会社側からそれぞれ主張を聞き、一連の経緯を確認した上で次のように説明した。
 試用期間については「解約権留保付き労働契約(*)というべきであり、本採用の拒否は客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と是認される場合にのみ許される」と判例で示されているように、試用期間経過後に本採用を拒否する場合には相当の理由が必要となる。
 また、試用期間を延長する場合には、あらかじめ就業規則や労働契約に定めるとともに、試用期間中は業務に必要な指導、教育を行うこと、予定の3ヵ月間では判断ができない場合は延長もあることを本人に説明することが必要である。
 さらに、延長後の状況においても指導してきたことが充分改善されなかったり、会社の指示した能力に達しなかった場合は本採用できないこともあらためて説明しなければならない。
 訪問介護支援業者の場合、利用者に対して特段の配慮が必要とされ、人材の採用、配置は特に個人的な要素が重要となることから、試用期間の延長もやむを得ない。
 しかし、今回の場合は、延長に関する事前の説明不足など、労働者への配慮が足りなかったことがトラブルの大きな要因となったと考えられる。

 会社側はこうした対応や事前説明が充分でなかったことを認め、またMさんもホームへルパーとしての自覚が不足していたことを認めた。
 その後Mさんは試用期間後に退職することになったが、会社は一定の解決金を支払うことなどを提案した結果、Mさんが承諾し解決となった。

*解約権留保付き労働契約
 使用者の解約権が留保された状態で結ばれた労働契約のこと。通常の解雇より広い範囲で解雇の事由が認められているが、解雇するだけの客観的かつ合理的な理由が必要とされる。

 





 

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